新入社員は94人。記録の残る昭和56年度以降で最少だった前年度(91人)と同水準だった。高橋社長はあいさつの台本を読まず会社での思い出などを30分にわたって語りかけた。高橋社長は「厳しい経営状況のシャープに人生を預けた新入社員に社長として素の姿を見せたかった」と話す。
入社式では続いて役員が新入社員と懇談したが、これも異例の試みだ。
高橋社長は就任後、矢継ぎ早に改革を打ち出した。社員に行動変革宣言を記したカードを持たせ、社員個人も変わることを求めるとともに、各自のチャレンジ精神を喚起するため人事評価制度を減点主義から加点主義に改めた。社内の意思疎通や風通しを良くするため役員の個室を廃止し経営陣らの大部屋制を導入。大部屋では社長以下役員とともに、秘書や経営企画のスタッフら約40人が机を並べて執務しているという。
1日付で新規事業や製品のマーケティングを専門の手掛ける市場開拓本部(約70人)を設置。カビなどを短時間で検知する微生物センサーなど開発はしたものの、販路や用途が確立されていない製品の売り方を打ち出す。高橋社長は「製品を消費者に届ける商品に変える。そのためには執念が必要だ」と強調した。