役員人事はすべて3社のたすき掛け。人員などの合理化も大きな課題だったが、役員がそれぞれの出身母体の工場を守り、構造改革は進まない。統合後も赤字が続いた。
革新機構はルネサスと同じ轍(てつ)を踏まないため、JDIの設立時に幹部から母体3社の出身者を排除した。エルピーダメモリを退いたばかりの大塚氏を招き、下に9人の執行役員を横並びで配した。この効果で、工場の設立や新商品の投入など大胆な施策を迅速に打ち出せたという。
さらに社員の意識改革も徹底した。大塚社長は「設立時の“憲法”の主語は旧3社ではなくJDIだ。過去は捨てろ」と言い続けた。統合前の時点で約1400人の正社員を削減するなど合理化も徹底した。経産省の幹部は、事業再生の速さの理由を「統合前に合理化を進めたのも大きい」と指摘した。
■ラストチャンス
そのルネサスも、遅まきながら変化の兆しが出てきた。24年12月に革新機構やトヨタ自動車など8社が約1500億円の出資を決定し、昨年6月にはオムロン会長だった作田久男氏を会長兼CEO(最高経営責任者)に送り込んだ。