伊藤忠商事が参画するベトナムの縫製工場。5月には生地工場も立ち上げ一貫生産でTPP合意後の対米市場を狙う(伊藤忠商事提供)【拡大】
伊藤忠商事は4日までに、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の合意を見据え、ベトナムに米国向けシャツの戦略輸出拠点を整備することを決めた。5月にも縫製工場のあるハノイ近郊のナムディン省に、染色工程を持つ生地工場を設立。来春には年産約1500万枚のフル生産に移行し、糸から縫製までの一貫生産体制を構築する。
TPP交渉の合意が実現すると、ベトナム製アパレル製品の米国向け輸出関税は大幅に引き下げられる見通しだ。このため伊藤忠は先手を打って生産拠点を増強することにした。
生地生産は、すでに縫製で提携している中国のアパレル大手、ベトナム現地メーカーと共同で行う。昨春稼働した紡績工場も来年4月に生産量を約2倍に引き上げる。
伊藤忠はこれまで中国を手始めに人件費の安いミャンマーやバングラデシュ、カンボジアへとシャツなどの縫製拠点を多角化してきたが、中国の人件費高騰や新興国のコスト競争力にも限界が生じ、今後は特恵関税を生かせる戦略に取り組む。
米国は、TPP交渉で繊維製品の関税引き下げや撤廃を条件に、原糸などの原材料から製品までをその国かTPP加盟国内で製造することを打ち出している。