ビッグローブを売却したNECの遠藤信博社長(右)と、ニフティ売却を検討する富士通の山本正已社長(左)。メーカー系プロバイダーは大きな転換期を迎えた(コラージュ)【拡大】
しかしその後、国内メーカーのパソコン事業は中国や台湾勢の台頭で、撤退や縮小を余儀なくされた。現在はタブレット端末の普及でパソコンの出荷台数も減少傾向にある。NTTグループやソフトバンクなど、通信大手の系列プロバイダーがシェアを拡大する中で、メーカー系プロバイダーは親会社の事業との相乗効果が得られなくなっていった。
「売り時」判断
こうした動きはNECだけではない。富士通は、10年以上前から懸案事項だったニフティの売却について、今年初めから本格的な検討を始めた。
長年、懸案のまま棚上げされてきたのは、ネット事業に強いこだわりを持ち、社内で絶大な権力を持つ秋草直之相談役が、売却に強く反対したためだとされる。平成21年にはニフティの売却話を進めた野副州(くに)旦(あき)元社長が、突如解任される騒動もあった。
この騒動以後、封印されていた売却話が本格化した背景には、秋草相談役の経営関与が薄れたことに加え、「ビッグローブ売却の影響が大きい」(証券会社関係者)という。