そんな中、フェンダーの今回の役員人事は何を意図しているのか。キーワードはフェンダーの言う「より良い会社」、ボノとエッジが求める「伝統的な技術」「新しいアイデア」だ。
ボノは環境問題で積極的に発言し、国際会議などにも顔をだす。ファンもそれを理解し応援している。ボノが森林資源を守るために新しい別の素材を使うべきだとファンに向かって訴えれば、材料調達の担当者も心強いはずだ。
一方のエッジは、その名の通り鋭く、かつ広がりのある新しいサウンドを確立したギタリストとして知られる。日本では、斉藤和義の「やさしくなりたい」や泉谷しげるの「春夏秋冬」リメーク版などに、その影響が色濃く表れている。
「大事なツアーやアルバムではフェンダーを使っている」と言うエッジだが、実はギブソンも頻繁に手にする。経営陣の一員として革新的なサウンドを生むギターをつくりだせば、フェンダーにとって大きな収穫となるだろう。