交流戦優勝を決め声援に応える原辰徳監督(中央)ら巨人ナイン=東京ドーム(撮影・大西正純)【拡大】
そして、球界再編騒動の2004年に入る。ロッテとダイエー、さらにオリックスと近鉄の合併構想までが明らかになり、選手会のスト表明にまで至る。
ダイエー本体は10月、産業再生機構の支援を仰ぐ。孫代表はその瞬間に、球団が売り出されると読んだ。急遽(きゅうきょ)、休日に呼び出され、福岡と東京で買収に名乗りを上げる記者会見の設営を命じられた。
ダイエーとの交渉を進めるなかで、突然のように西武から身売りの打診があったのに驚かされた。
球団経営の収入は、チケットと関連グッズ、飲食である。支出のうちで大層を占めるのが実は球場の使用料なのである。米国では自治体が球場を建設して、年間の使用料を1ドルにしているところもある。ネーミングライツも補填する。仙台を本拠とする楽天が早期に黒字化したのは、県営球場の使用料が格安であることが大きな要因だ。
福岡はかつて西鉄が、仙台は準フランチャイズだったロッテに去られた経験がある。市民は地元に球団が存在する意義をよく知っている。
プロ野球球団を増やせるかどうか。その方程式を解く鍵は、多くの否定的な専門家が説くような、選手不足や親会社の維持費の問題ではないと思う。(シンクタンク代表 田部康喜)