ユーグレナといすゞ自動車の共同研究では、バイオディーゼル燃料で実際にバスを走らせる【拡大】
水素化処理で精製
そこで有望視されているのがミドリムシだ。ミドリムシを使った燃料は、品質的に大豆やトウモロコシと何ら変わらない。しかも専用設備を使って培養するため、単位面積当たりの生産量ではるかに上回り、広大な耕作地を必要としない。国土の狭い日本でも安定生産できる「夢の資源」といえる。
もっとも現状のバイオディーゼルは、含有率を5%以上に高めようとすると、粘度が増したり、スラッジ(カス)が発生したりしてエンジンなどを傷めかねない。一方で、含有率が低い分、環境負荷を減らせる余地は大きい。
実用化を目指す燃料は、「水素化処理」と呼ばれる技術を用いて精製する方向だ。この技術は、原料に触媒を加えた後、水素と反応させることで有害な硫黄分を取り除くもので、石油精製で採用されているものと同じだ。この技術を用いれば、分子構造が軽油と全く変わらず、軽油規格にも適合する燃料が作れるという。
バイオディーゼルは、コストが高いという欠点もあるが、同社では「技術を確立した時点で消費者に選んでもらえる(軽油と差のない)価格にしたい」と意気込む。