7月の顧客情報流出事件で傷を負ったベネッセホールディングス(HD)が反転攻勢に出る。11月から営業活動を再開し、ダイレクトメール(DM)を使わない形で新規顧客の開拓をスタート。通信教育講座「進研ゼミ」会員の相談拠点を開くなど、原田泳幸会長兼社長が陣頭指揮に立ち、失った信頼回復を進める。原田氏は、6月に“プロ経営者”として日本マクドナルドHDトップから転じたが、強烈なリーダーシップゆえに現場の反発や疲弊といった混乱を招くとの懸念もあり、ベネッセ再生の行方は見通せない。
黒字化あきらめず
「業績予想はあくまで保守的に見積もった数字。黒字化をあきらめたわけではない」。10月31日、2014年9月中間決算の発表会見に臨んだ原田氏は、15年3月期通期の見通しを厳しい表情でこう語った。同期の最終損益は10億~90億円の赤字になる見込みで、1995年の上場以来、初の最終赤字に陥る。
大きいのは、流出事件を受け、新規顧客の募集を自粛した進研ゼミの会員数が減ったことだ。加えて、顧客へのおわび費用や、人材・組織面の構造改革費用などで、特別損失が300億円強まで膨らむ。最終赤字額に幅を持たせたのは、「構造改革の中身がまだ決まっていない」(原田氏)からだ。