大手監査法人に勤務経験のある公認会計士の大西康記氏は「企業は一般的に、『きっちりしている』と投資家から評価されるよう、はっきりしない要素を最大限に見積もって、業績予想を保守的に行う」と指摘する。ベネッセは流出事件で信頼を損ねており、これ以上、投資家を裏切るわけにいかない。このため、慎重に赤字を予想したわけだが、それでも「黒字化を目指す」と言い切る原田氏には「普通の経営者とは違う、強烈な自負を感じる」(市場関係者)との声も上がる。
収益力を高めるため原田氏が進めるのは、DMに頼らない新しいマーケティング戦略や、新規事業の展開だ。
11月には、「顧客との接点を増やす」ため、ベネッセ社員が進研ゼミ会員の相談に乗る施設「エリアベネッセ」を都内2カ所にオープンし、来年4月までに500カ所設置する。
また、会員の退会者を減らすため、塾との連携を強める。12月以降、傘下の東京個別指導学院が進研ゼミの教材を使って「講師1人、受講生4人」で会員を教える教室を、500カ所作る。グループ外の750の中小学習塾とも連携し、塾講師が会員の学習計画を指導する取り組みを始める。同時に、事業ごとに一層の自立を促すために導入された社内カンパニーについて、9から5に減らすといった組織改革も進めている。