国策として尋常でないスピードで敷設工事を進めた中国版新幹線が、11年に温州市で引き起こした大事故が連想されてしまうのかもしれない。同事故では40人もの死者を出し、当局の対応もお粗末だったことから、中国政府は世界中から批判を浴びた。
中国政府は優先購入か
だが、日本勢としては、中国勢を見くびり続けていれば、足下をすくわれる可能性もある。中国はARJ21の開発に手間取る間に、160席程度の大型旅客機「C919」の開発にも着手。昨年11月の航空ショーでは実物大のモックアップを展示し、ARJ21とともに注目を浴びた。すでに400機以上受注しているとされ、ARJ21以上に中国側は期待をしている。ただ、このC919も、開発スケジュールが延期され、初飛行は今年または来年とみられている。
さらに中国勢にとって追い風なのは、拡大する航空機市場の多くが、中国国内にあるという点だ。米ボーイングによれば33年までに、またエアバスによれば今後10年以内に、それぞれ中国が米国に代わって世界最大の航空機市場になるとの予測を昨秋に発表した。ボーイングによれば、今後20年間で中国の航空会社は約6000機、金額にして約8700億ドル(約103兆円)に達する見通しという。