「RIP(安らかに眠れ)、グーグルグラス」と題したこの記事では、グーグルグラスのように世界を変えると言われながら、結局、忘れ去られた5つの発明を紹介しています。
■1:Smell-O-Vision(スメル-オー-ヴィジョン)=米国で1960年に登場した香り付きの映画。映画館に作品の題材に関連づけた香水を噴射したそうですが、ハンパない香水の量と無駄な人件費が必要になりすぐに中断。
■2:シンクレアC5=英国で1985年に発売された電気自動車。画期的と注目を浴びましたが、チープな外観から「おもちゃ」と小馬鹿にされ、乗っていた人々はアホでヤバイやつとバカにされ、消えました。
ちなみに、グーグルグラス着用者は米国でGoogle Glass(グーグルグラス)と「asshole」(アスホール=けつの穴=ドアホの意味)の造語「glassholes(グラスホールズ=眼鏡ドアホ)」と嘲笑されていますが、この電気自動車は、利用者が嘲笑されたという意味でグーグルグラスの元祖的存在とのこと。
■3:セグウェイ=「あー、そんなんあったわ」と思い出された方も多いと思います。2001年、米国で登場した電動の立ち乗り二輪車です。2005年11月の日米首脳会談で、当時のブッシュ米大統領が小泉純一郎首相にプレゼントし、小泉首相が首相官邸で乗り回すなど、けっこう話題になりましたが、日本では公道での走行に制限が多いなど問題が多く、世界的に見ても普及しませんでした。
因みに米セグウェイ社を2009年に買収した英国の資産家は、自宅近くの林道をセグウェイで走行中、9メートル下の川に転落して亡くなりました…。
■4:任天堂のバーチャルボーイ=任天堂が1995年に発売したゴーグル型ディスプレーを着用する3D(立体)ビデオゲーム機。カラーではなく赤色単色だったことや宣伝の不備で失敗作となりましたが、この技術が後の“眼鏡がいらない3D”を実現したニンテンドー3DSの発明につながりました。
■5:AVEミザール=1971~73年に米で登場した空飛ぶ自動車。といってもフォード社製の自動車にセスナの機体をくっつけたトンデモ製品で、これもテスト飛行で壊れ、敢えなく失敗…。
前述のインディペンデント紙は「多くの発明は世界を変えることを約束されているが、幾つかは決してそのチャンスを得られない。発明自体が粗悪だったためだが、多くの場合は登場する時期が悪かったり、困惑するようなものだったことが理由に挙げられる。グーグルグラスの場合は恐らく後者で、グーグルは違った形態で(グーグルグラスを)再登場させる可能性がある」と分析しています。 (岡田敏一)
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【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部などを経て現在、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。京都市在住。