【レクサス福市代表に聞く】まだ世界の高級ブランドとして認められていない (2/4ページ)

2015.2.22 07:00

インタビューに応じるレクサス代表の福市得雄氏

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 《モノづくりの良さが伝われば価値を理解してもらえる》

――レクサスは「高すぎる」といった声もあります。それは“見えない良さ”が伝わっていないからだと思うのですが、レクサスでは今後どのような広報活動を考えていますか

 福市氏「おっしゃる通りで、レクサスがいかにして作られているのかを、まだお客さんに理解されていないと思うんです。価格を安くすれば売れるかもしれませんが、良いものを安売りしてブランドイメージを崩すようではダメ。自信を持っているのなら、それなりの値段で売るべきです」

 「今年、特に強化したいのは、レクサスがいかにして物理的に作られているかを伝えることです。例えば、ステアリングの縞杢(しまもく)を見てもらうと『なるほどな』と納得できる。本当に一つひとつが匠の世界で作られていることを紹介したいのです。『それぐらいの手間がかかっているから、持った感じがしっとりくるね』と。もちろん機能に伝わっていかないといけません。何のためにそれだけ凝って作っているのか。使いやすいとか手に馴染むとか、そういうことだと思うんです。そういった事実を上手く伝えていきたい」

 「いいクルマは5メートルも走れば腕から伝わってきます。日本のモノづくりの良さが伝われば、値段が高くてもそれだけの価値があると理解してもらえるはずです。世界各国を見ると、お金持ちはいっぱいいます。自分に対して唯一無二なものがあれば、それだけお金を出す価値があると認めてくれます。それを『高いから買えない』というのであれば、その価値をまだ理解されていないんじゃないかなと思う。そういうマーケティングをやっていきたいのです」

 《レクサスのデザインチームは超一流》

――デザインについてお聞きします。日本車のデザインは海外メーカーと比べて「つまらない」といった意見もありますが、福市さんはどうお考えですか。また、デザイナーに求めるのはどんなことですか

 福市氏「レクサスを含めたトヨタのデザインチームはアメリカやヨーロッパにもスタジオがあって、17カ国から集まったデザイナーが一緒にやっているんです。とかく日本の企業はグローバルじゃないと言われますが、実際は日本人も外国人も一緒くたに共作をしているんです。その中からベストのものを選んでいるという意味で、『日本人だから』という考え方は既にないんですね。では、なぜ日本のデザインが劣っていると言われるのか。それは、日本のマーケットだけを見据えてクルマを作っているから、海外に出したときに非常に弱く見えるんだと思うんです」

 「例えて言うと、日本の5ナンバーと3ナンバーの間には全幅1700ミリというボディサイズ規制があります。塊を作ろうと思っても『中は広く、外は小さく』というルールの中で車作りをすると、おのずと薄っぺらなデザインになってしまう。でも、グローバルで戦うレクサスにおいてサイズの垣根は存在しないわけです。5ナンバーのレクサスなんていう話は、議論の中にまったく出てこないんです」

 「あと、私がデザイナーに期待することは、デザインのアーキテクチャー(構造)の部分ですね。どういう立体に何が付加されて、どんな形になっているのか。『NX』でいうと、平面で菱形の塊に別の付加立体をホイール部分に付けて、立体を構築しました。簡単に言うと、スピンドルグリルから始まって、後ろのナンバープレートに吹き抜けていく塊をしっかり作って、そこにフェンダーと言われるホイールをカバーした立体を構築する。その立体を無視しなければ、その塊はずっと海外のクルマに負けない塊になるんです。だから僕は、決して今は劣っているとは思わないんですね」

 「デザイナーは世界各国から参加していますから、もう何も言うことはない。うちのメンバーの能力は超一流だと思っています。もしそれでも上手くいかないとしたら、それは管理するマネージャーの責任です。進むべき方向について我々の判断にミスがあったときに失敗するんだと思います」

「トヨタとレクサスに乗る人の違いとは…」

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