《新しいことをやってかっこよければいい》
――福市さんが考えるレクサスの強みと、改善すべき問題点は何ですか
福市氏「先ほども言いましたが、ドイツ3社は100年の歴史を持っていて、その中で培ってきたユーザーがいるわけです。各ブランドには、その人たちのこだわりがあるんですね。幸いにも25年、国内においては10年しか歴史がないレクサスは、そういうしがらみがないんです。ヘリテージ(継承してきたもの)があるからいいという考えもあれば、ないから何をやっても許されるという考え方もあります。新しいことをやってかっこよければいいわけですよ」
「たぶんドイツ3社はある枠を超えてしまうと、お客さんから『これはメルセデスじゃない』『BMWに見えない』『アウディじゃないよ』と言われるんじゃないかと…。それがレクサスにはないわけです。逆に言ったら、我々がリーダーシップを取って『レクサスはこうです』と言ってしまえばそれでいい。そういう意味では自由ですよね。とはいえ、そのヘリテージがないから頼るものがない。そういうものがないから簡単には作れない。だから、オリジナリティをちゃんと作っていかなければならないと思っています」
《トヨタとレクサスに乗る人の違いとは》
――世間では若者のクルマ離れが進むなど、自動車に興味のない人が増えています。これからファンを増やすためにアピールしたいポイントは何ですか。レクサスに乗る意義を教えてください
福市氏「例えば、若い人でも何十万円もするブランド時計を買っている人はたくさんいますよね。自分の給料で払えるか払えないかというギリギリのところでも『一生モノだ』と言って我慢して買うわけですよ。じゃあ、彼らは何のためにそれを買うのか。時間を見るだけなら携帯電話で十分です。時計をしているのは、時計を見るのであって時間を見るためではないんです。人に時計を見せるために着けているわけですよ」
「それを着けることで人に自分の価値観を分かってもらえます。それだけの時計を着けているのだから『この人はビジネスにおいて成功していますよね』と。インタビューを受けるときも、最初に身に着けているものを見て、その人がどういう趣味を持っているのかが分かりますよね」
「クルマで例えたら、トヨタブランドに乗っている人とレクサスブランドに乗っている人では何が違うんですかと。ホテルにレクサスで行き着いたとき、たぶんホテルマンが受ける印象は変わると思うんです。だから、クルマは単なる移動手段ではないわけですよ。それに乗ることで、渋滞で止まっていても周りから『あの人の趣味はいいね』とか、羨望の眼差しを浴びることになり、それが満足感を得ることにつながるのです」
「A地点からB地点に移動するときに、いかに“ストーリー”を作るかということです。それを味わいたい人はぜひレクサスに乗って頂くといいですし、そこに価値観を見出さない人はトヨタブランドのお買い得なクルマを買って頂ければいいわけです」