高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分が決定し、「司法が再稼働を止める」などと書かれた垂れ幕を掲げる弁護士ら=14日午後、福井地裁前【拡大】
原発を持つ電力9社のうち、原発依存度が高い関電と九州電力、北海道電力を除く6社は、15年3月期連結決算で最終黒字を計上する見通しだ。昨秋以降の原油安で燃料費は下落傾向にあり、火力発電の高効率化や、液化天然ガス(LNG)よりも燃料費が安い石炭火力の稼働増などによるコスト削減効果を見込む。
しかし原発が再稼働できなければ経営の抜本改善は難しい。再稼働に向けた準備が最も進む九電川内1、2号機(鹿児島県)の場合、再稼働で月200億円の収益改善効果をもたらすとされる。電力各社の原発再稼働が遠のけば、再値上げも現実味を帯び、国民負担が高まる恐れがある。(宇野貴文)
【用語解説】高浜原発3、4号機
関西電力が福井県高浜町に所有する原発。いずれも加圧水型軽水炉(PWR)で、出力はともに87万キロワット。1985年に運転を開始した。原子力規制委員会は安全対策が新規制基準に適合するとする審査書を決定しており、関電は今年11月の再稼働を想定している。避難計画の策定が必要な半径30キロ圏には京都府舞鶴市や滋賀県高島市の一部も含まれる。