鉄鋼大手3社の平成27年3月期連結決算が28日、出そろった。鉄鉱石など原料価格の下落で全社が営業増益を計上したが、建設や自動車などの需要が停滞して在庫が増加。新日鉄住金は4~6月期に100万トン減産し在庫解消に取り組む。
新日鉄住金は、原料価格の下落が経常利益を2280億円押し上げた。名古屋製鉄所の火災事故の補修費や鋼材価格の下落が利益を圧迫したが、利幅が改善し2ケタの増益を記録した。
だが、単独の粗鋼生産量は71万トンの減少。消費税増税後の自動車生産の落ち込みや建設向けの需要低迷が響いた。太田克彦副社長は記者会見で「減産で在庫調整に取り組み、健全な市況をつくりたい」と述べた。
JFEホールディングス(HD)も原料価格下落が1750億円の増益要因となった。ただ、在庫増に対応して4~6月期は30万トン前後の減産を実施する。
28年3月期業績予想は神戸製鋼所が経常減益、JFEHDはほぼ横ばいの経常利益を見込むが、新日鉄住金は「主原料や鋼材の価格動向が見通せない」として公表しなかった。