電機各社は今年に入り、テレビ事業の改革を一段と進めている。製品価格の下落と過剰投資が巨額赤字につながった同事業だが、2015年3月期にソニーが11年ぶりの黒字化を達成し、パナソニックも16年3月期に8年ぶりの黒字を見込むなど、回復の兆しも出てきた。ただ、依然としてリスク管理は各社の課題で、経営危機に陥ったシャープでは一段の改革が不可避だ。韓国・中国勢との競争も激しく、収益の安定化には差別化戦略が重要になる。
東芝は今年、テレビ事業の自社生産をやめる方針を決めインドネシアとエジプトの工場売却に向けて調整している。パナソニックは中国、シャープは欧州でのテレビ生産から撤退した。
昨年7月に分社化されたソニーのテレビ事業は、15年3月期に83億円の黒字(前期は257億円の赤字)を計上し、04年3月期以来の黒字に転換。固定費の削減などが要因だ。15年1~3月期は赤字で、ソニー幹部は「さらに事業の安定性を高めなければならない」と話す。
パナソニックの同事業は、15年3月期に149億円の赤字。ただ、液晶パネルだけでみれば、同年1~3月期まで2四半期連続で黒字を確保しており、今期は通期で08年3月期以来の黒字を予想している。