今年4月に中部電力と設立した火力事業の新会社は、海外事業を強化、東電、中電合わせて7400万キロワット分に上る火力発電を、将来的には1億キロワットにまで増やす方針。今月はカタールの案件のほか、アラブ首長国連邦での発電・海水淡水化プロジェクトに対する出資比率を拡大したことなども発表している。
東電が海外展開を急いでいるのは、国内の電力需要が落ちていることに加え、来年4月から電力小売りが家庭向けを含めて全面自由化されるためだ。
牙城の首都圏に、ほかの電力会社やガス会社、石油元売り会社が参入してくることから顧客の奪い合いが激しくなることが予想される。実際、00年に自由化された工場など大口向けの電力販売では累計4万件以上の契約が解除された。東電は、収益基盤を早期に安定させることを迫られている。
しかも、新潟県の柏崎刈羽原発の稼働停止が長引いて火力発電の燃料費がかさみ、「相当なコストダウンでやりくりしている」(広瀬直己社長)という苦しい状況が続く。東電は蓄積した技術力をいかし、積極的に海外案件を開拓して収益に貢献させる方針だ。