商品やシェアで世界一、日本一を誇る中小企業を集めた合同就職説明会。今年は売り手市場で、中小企業の採用は苦戦している=3月、大阪市【拡大】
好調な業績を背景に採用を増やす企業が多く、2016年に卒業を予定している学生にとって優位な「売り手市場」が続く。経団連のルール変更もあって採用活動時期が後ろ倒しとなり、大手でさえも苦戦を強いられており、知名度が低い中小・ベンチャーはなおさらだ。このため新卒は諦めて、既卒者や中退組にターゲットを絞る中小も顕在化。既卒者らを再教育して中小・ベンチャーにつなげるマッチングビジネスが活況を呈している。
売り手市場で苦戦
「卒業生、入場!」。司会者の号令の下、リクルートスーツに身を固めた31人の男女が2組に分かれて会場に入り、一斉に「本日はよろしくお願い致します」と力強くあいさつした。
通常の新卒採用の面接会場に比べると参加者の平均年齢は少し高めだ。社員研修事業を展開するジェイック(東京都千代田区)が5月下旬、「正社員として働きたい」と意欲を示す20代と中堅・中小の経営者を集めて行った集団面接会の一コマだ。
厚生労働省と文部科学省によると、今春卒業した大学生の就職率(4月1日時点)は96.7%。4年連続の改善で、1997年の調査開始以来、リーマン・ショック直前の2008年に次ぐ高水準だ。