JR西日本が訪日外国人誘致のために中国・上海に開設している事務所(同社提供)【拡大】
急増する訪日外国人を呼び込むため、関西の鉄道各社が、海外拠点の開設を強化している。JR西日本は7月にシンガポールに現地事務所を設置し、現地の旅行会社に乗り放題乗車券などの企画や販売を働きかける。私鉄各社も訪日客の誘致に知恵を絞っており、グループの鉄道やホテルの利用増につなげることを目指す。少子高齢化が進み、沿線に根を張った従来のサービス展開では将来的な利用者の増加は見通しにくい。各社は“爆買”を伴う訪日客を新たな収益機会として位置付け、海外に飛び出し始めた。(中村智隆)
なりふり構わず
「ドメスティック(国内の)な会社だが、外国人を誘致していく」
シンガポール事務所の設置について、JR西の担当者は意気込みを語る。
JR西は7月1日にシンガポールで事務所を開設。駐在社員が現地の旅行会社に区間乗り放題乗車券などの商品を提案したり、東南アジアの市場調査などを手掛けたりする。円安やビザ発給要件の緩和などを追い風に増加が続く東南アジアからの訪日客を呼び込むのがミッションだ。
JR西はすでに中国・上海に訪日客誘致のための事務所を構えているが、「急速な経済成長が見込まれる東南アジアには期待している」(JR西)といい、シンガポール事務所の設置を決断した。