多摩川を渡り、武蔵小杉を抜ける中原街道。江戸時代に東海道が整備される以前から機能してきた古道で、徳川家康が江戸入城の際にも利用されたと伝えられている。同時に、沿線の物資や農産物の輸送に欠かせない街道でもあった。その大事な中継地である小杉地区は、宿場町として栄える一方、御殿が設けられて家康がタカ狩りを楽しみ、用水路開削のための陣屋が設けられるなど、由緒ある土地として歴史を刻んできた。この中原街道の要所として栄えた、現在の川崎市中原区小杉陣屋町に、趣あるレジデンス「GATE SQUARE 小杉陣屋町」が建設され、注目を集めている。
◆重要歴史記念物
東急東横線の武蔵小杉駅から徒歩11分、新丸子駅から徒歩8分ほどの閑静な住宅街。およそ400年の間、誰の手にも渡ることなく受け継がれてきた約2000坪の敷地には「原家旧屋敷(陣屋荘)」があった。原家は、1784(天明4)年に肥料を売る店を開店後、コメ問屋、みそ屋、しょうゆ屋、油問屋などを手広く手がけ、その後銀行業や政界にも進出し地域の発展を牽引(けんいん)。また、石橋を方々にかけたことから「石橋」という屋号でも呼ばれている。昭和時代には「陣屋荘」という料亭を営み、祝い事などの会席の場としても親しまれた。この地は現在、12代目の原正人氏が当主を務めている。
原家の旧母屋は、1891(明治24)年から22年の歳月をかけて1913(大正2)年に完成し、当時の高度な木造建築技術を駆使して作られた総ケヤキ造りの豪壮な2階建て民家であった。現在、建物は川崎市立日本民家園に移築・復元され、2001(平成13)年に市の重要歴史記念物に指定。また、生活品などの民俗資料や古文書などは川崎市市民ミュージアムに収蔵されている。