ルパンは弱者から盗まないとか、好敵手である銭形警部に組織人の悲哀を感じるとか、いろいろ読み解いてもらっているようだけど、ポリシーというような大それたものは持っていないし、教訓的なことを織り込もうなんて思っていない。読んでいる間は、他のことを忘れていかに楽しんでもらえるかだけ考えた。もちろん、気の利いたトリックを毎回思いつくわけではなく、生みの苦しみも多かったけどね。
《昭和60年のテレビシリーズ終了後もたびたび単発スペシャルが放送され、昨年は小栗旬さん主演の実写映画もヒット。根強い人気を誇っている》
本を読むのが好きでね。小学生のころは「怪人二十面相」(江戸川乱歩)、中学生になって「アルセーヌ・ルパン」(モーリス・ルブラン)シリーズを片っ端から読んだ。シャーロック・ホームズや西遊記など冒険もの、推理ものばかり。場面をあれこれ想像することが楽しかったんです。
まだテレビはなく、近くに本屋もなかった。定時制高校に通っていたころは、アルバイトでためたお金で新刊を自宅まで届けてもらっていた。情報源は新聞かラジオ。田舎ではちょっとした情報も刺激になるから新鮮でした。