主要企業の平成27年9月中間決算はまずまずの出だしとなった。ただ、8月から強く意識された中国経済の減速は製造業を中心に業績に影を落としている。急増する中国人観光客の旺盛な消費行動の恩恵を受ける業種もあるが、中国経済の減速リスクは企業心理や業績に重荷となっている。
「夏場の状況を見ても、需要がまったく立ち上がらない。前年比で約半減という状態が継続している」
中国での建設機械の需要について、日立建機の桂山哲夫最高財務責任者(CFO)はこう嘆いた。同社とコマツの建機大手2社の9月中間決算はともに減収減益。日立建機は、中国での不振が一因となり、28年3月期通期の業績予想の下方修正を余儀なくされた。
鉄鋼業界も中国減速の影響を色濃く受けている。新日鉄住金は通期の経常利益の予想を下方修正した。売上高に占める中国の割合は約1割と高くないが、生産過剰や内需低迷に苦しむ中国勢が東南アジアなどで安値攻勢をかけ、全体の鋼材価格が下落。そのあおりで同社の収益も低迷した。
日立製作所の中村豊明副社長も「(中国では)不動産投資が止まっており、28年1~3月期あたりにエレベーター事業にも影響が出てくる」と懸念を示した。
一方、「爆買い」で知られる中国人観光客が利用する小売りなどは業績への影響が今のところ限定的だ。