せんべいの原料となるコメはタイ産。輸送コスト削減のためでもあるが、タイ国内にはさまざまな種類のコメがあり、佐藤社長は品質の良いものを探し出した。原料により、せんべいの風味や焼き上がりの表面の色合いなどが異なるが、なるべく日本の品質に近づけた。せんべいの生地づくりでは、タイの水道水の温度が日本よりも高いため、原料をどう冷やすかなどに腐心した。
販売面では「郷に入りては郷に従え」の例え通り、シンハーコーポレーションの助言が役に立った。現地では商品の種類を増やせば、陳列棚のより広いスペースに置いてもらえるため、雪の宿と同じ甘じょっぱい商品と、塩味のみの商品の2種類を用意した。抹茶やマンゴーなど十数種類の試食品を用意して、タイの消費者の好みに合う材料を探した。包装は、日本の倍以上の賞味期限を満たすようにしたほか、黄色や青色を使って10代の若者の視覚に訴えるようにした。
価格は、容量により5バーツ(17円)、10バーツ、20バーツを設定した。昭和の日本で見られた、小銭を手に持って駄菓子店を訪れる子供たち。タイでは、現在でも同様の風景をあちこちで見ることができる。そこで、「タイの人たちに親しんでもらえるブランドになりたい」(佐藤社長)と、赤字覚悟で少ない容量、低価格のトライアル商品を用意したのだ。