医療開発、企業と「意思疎通」 川崎モデル、全国から視察者 (4/5ページ)

2016.1.6 06:40

有機合成室での実験の様子=2015年11月、川崎市川崎区のナノ医療イノベーションセンター

有機合成室での実験の様子=2015年11月、川崎市川崎区のナノ医療イノベーションセンター【拡大】

  • 電子顕微鏡と片岡一則・東京大大学院教授

 ただ、施設を整備しただけでは、イノベーションは生まれない。同財団は13年、企業や大学などとともに、文部科学省の公募型プロジェクト「革新的イノベーション創出プログラム拠点」に応募し、採択された。

 採択された研究開発プロジェクト「COINS」のプロジェクトリーダーには、外資系企業を立ち上げた経験を持つ東京大大学院薬学系研究科の木村広道特任教授が就く。ナノマシンのほか、アルツハイマー病の克服、細胞を使わない再生医療など、これまでの医療の価値観を変える可能性がある6つの研究テーマで開発が進む。

 ニーズを把握

 同市は産業振興には定評がある自治体の一つ。担当職員が市内の大企業や中小企業に足しげく通い、事業や技術開発の面で困っていることを把握。必要に応じて信用金庫や大学の研究者などに引き合わせ、課題の解決を図る。「川崎モデル」と称される支援策を詳しく知りたいと、全国から視察者が訪れる。

 福田市長は「自治体と企業の意思疎通がしっかりしている」と述べ、成功の極意を打ち明けた。

川崎がライフサイエンスの分野で世界のトップランナーになるかもしれない

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