しかし実際には、季節限定や通信販売を通じてべにふうきの商品を提供しただけで、本格的な商品展開に至らなかった。通常の食品は法律で健康への評価の表示が禁止されており、メチル化カテキンの効果を消費者に伝えることが難しく、商品化へのハードルとなっていたからだ。「ヒトを対象にした科学的な根拠を持っていたのにもかかわらず、商品には『すっきり成分』という表現しか使えなかったことは歯がゆかった」(篠田さん)
機能性表示食品制度では、健康の維持増進の範囲内であれば、体の部位に言及した表現を表示できる。論文などの科学的根拠や表示内容などを消費者庁に届ければ、60日後に販売できるため、申請から許可まで平均1年かかる特定保健用食品(トクホ)と比べ、メーカー側の負担は格段に軽くなる。
アサヒ飲料は、消費者アンケートの結果などから、ほこりやハウスダストなどによる目や鼻に不快感を実感している人は、全国に約3510万人いると推計。手軽にメチル化カテキンを摂取できる緑茶飲料があればと考え、べにふうきに白羽の矢を立てたのだ。