【シャープ・鴻海交渉】鴻海が買収急ぐ理由は? メーカーの「黒子」脱却へ焦りか (2/2ページ)

2016.2.5 21:55

シャープ本社を訪れ、報道陣の取材に応じる鴻海精密工業の郭台銘会長=5日午後、大阪市阿倍野区(彦野公太朗撮影)

シャープ本社を訪れ、報道陣の取材に応じる鴻海精密工業の郭台銘会長=5日午後、大阪市阿倍野区(彦野公太朗撮影)【拡大】

 鴻海は受託製造業務の大半を子会社の富士康科技(フォックスコン)を通じ中国で展開している。1988年に対中進出。広東省深センや山西省太原など数十カ所の拠点で約100万人を雇用するまでに成長した。主力商品は米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」だ。

 しかし、近年は中国の人件費の高騰で収益が圧迫されており、下請けからの脱却を模索してきたのが実情だ。また、09年ごろから深セン工場などで20歳前後の従業員の転落死や自殺、自殺未遂が相次いだほか、鄭州や太原、深センなどの工場で従業員ら数千人による暴動が頻発。労働環境への不満も原因と伝えられる。急速な成長という光の裏側で影の部分も指摘されているのだ。

 郭会長はシャープの従業員の雇用を維持する考えを強調するが、その言葉への不信も拭えそうにない。(織田淳嗣、上海=河崎真澄)

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