トヨタ自動車労働組合は、平成28年春闘で月額3000円のベア要求を掲げた。トヨタの労使交渉の結果は系列の下請け部品メーカーにも大きな影響を与えることから、ベアとともに下請け中小企業との格差縮小という「二兎」を得るのが今年の狙いだ。ただ、人件費の増加で下請けの体力が低下すればグループの競争力に直結する。急速な円高などによる業績悪化のリスクも浮上しており、交渉は容易ではない。
トヨタ自動車を頂点に1次、2次…と何層もの下請け企業が支える“トヨタピラミッド”において、グループ各社はトヨタの妥結額を「天井」にして労使交渉をまとめる傾向がある。
27年春闘では、トヨタ労組は26年の妥結額の2倍以上のベアを要求。強気の目標を掲げることで、グループの中小企業の労組の交渉を後押しする狙いだった。
最終的にトヨタは4000円、グループ大手のデンソーなどは3000円のベアで回答したなか、ベアを見送った中小企業もあり、「トヨタと下請けの格差はさらに広がってしまった」(グループの労組幹部)。
28年春闘でのトヨタ労組の要求は昨年の半額。中小の労組も取り組みやすい水準にした。ただ、「天井」が下がったことで中小のベアが抑えられる懸念もある。(田村龍彦)