俗に言う「春闘」が経団連と連合のトップ会談を終えて、これから本格的に始まるわけだが、言葉だけが踊っているように見える。今や賃上げは個別企業の労使の事情で決まり、いわゆる春闘相場が重視される時代ではもはやないからだ。
もともと経団連と連合との首脳レベルの話し合いは空中戦といわれ、実際の賃上げは企業別労使の地上戦で決まる。しかし昔は、産業別に横並びで交渉して相場を作り、それにさや寄せして全体が決着した。
自動車、電機、鉄鋼などの輸出産業では、金属労協が傘下の労働組合を束ねて相場の引き上げを図り、経営側も連携して交渉した。こうして金属業種を先頭に全産業に相場を波及させるのが本来の「春闘」だった。
ところが長いデフレ経済の下で、産業間、企業間で業績格差が広がり、労組が企業、業種を超えて足並みをそろえるのは困難になった。おまけに21世紀に入りベアゼロが続き、横並び春闘は完全に形骸化した。