労使の上部団体は、安倍政権などの強い要請に応えて「賃上げ」を確約する形を一応整えた。これによりアベノミクスの「新三本の矢」が目指すGDP600兆円達成のために必要とされる「年3%程度の賃上げ」が現実に近づくかといえば、関係ない。
人口減少も手伝って人手不足が一部で起きている。先行きに確信がある企業は言われなくても賃上げをする。一方、賃上げできない不振企業からの人材流出は進む。春闘方式が始まったのは61年も昔だ。今や賃上げは自己責任で決める時代である。
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【プロフィル】森一夫
もり・かずお ジャーナリスト 早大卒。1972年日本経済新聞社入社。産業部編集委員、論説副主幹、特別編集委員などを経て2013年退職。著書は「日本の経営」(日本経済新聞社)、『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(同)など。65歳。