15年12月期決算で、11年に買収し傘下に収めたカナダの電子書籍企業「コボ」の「のれん代」の減損処理を迫られ、78億円の損失を計上した。三木谷氏は「収益改善できているとみていたが監査法人はそう判断しなかった」と悔しさをにじませた。世界経済の減速を受けて、今後も海外投資事業は減損対象になりかねない。
最近の三木谷氏は「選択と集中」とよく口にするようになった。海外の不採算事業の撤退や楽天市場の立て直しに自ら動く姿勢を市場関係者は評価している。しかし、中計で20年12月期に200億円の黒字(15年12月期は180億円の赤字)を目指すその他インターネットサービス分野のうちの電子書籍事業は「さらに普及するとは考えにくい」(風早氏)のも確かだ。
楽天は再び力強い成長力をたぐり寄せることができるのか、大なたを振るう構えの三木谷氏の手腕が改めて問われる。(大坪玲央)