重機を使って所員が障害物撤去の訓練を行う=茨城県東海村の日本原電東海第2発電所【拡大】
想定見直しが奏功
ラッキーな結果とは、自主的に増設した壁が非常用ディーゼル発電機の冷却に必要な海水ポンプを守ったことをいう。
茨城県は2007年に津波浸水想定を見直した。これに基づくと津波の最高水位が5.7メートルに到達すると解析、4.9メートルの既設壁では海水ポンプを津波から守れず、高さ6.1メートルの壁の増設を決めた。完成したのは10年9月で、この判断が奏功した。
ただ震災時には一部防水工事が終わっておらず、ここから海水が浸入。3台のうち1台が使用不能となったが、残る2台で安定した冷却を継続することができた。
震災当時は事務系を統括する立場だった柳原寛司総務室長は「県の新知見を採用したことに(畑村氏は)『すごいこと』といってくれた。結果から新たな対策を打つのではなく、何事も愚直に反省し新たに取り入れるというわれわれの考え方が評価された」と喜ぶ。