それもそのはず、今年2月に4890億円の出資でシャープを傘下に入れることが決まりかけたが、その後「偶発債務の存在」を理由に次々と条件変更を要求。約1カ月間にわたる迷走後、最終的には出資金1千億円の減額に成功。鴻海にとってはかなり有利な条件で合意したからだ。
一方のシャープ経営陣は、鴻海の要求に振り回されっぱなし。「決めたことを翌日になってすべてひっくり返してしまう」(シャープ幹部)と不信感を募らせることもあったが、最終的には鴻海の要求に押し切られる形となった。
こうした両社の対応の違いに、台湾の経済関係者は「台湾企業は中華圏のビジネスも日本企業の特性も熟知している。対する日本企業は台湾企業のやり方や存在価値の研究不足。シャープは技術面ではトップ企業だが、ビジネス戦略や交渉面では未熟だったことを露呈した」と指摘する。
「トップダウン」の台湾に、「合議制」の日本
いったい、両社の違いはどこにあったのか-。