熊本地震の影響で停止していた工場で、再開の動きが出てきた。トヨタ自動車は20日、停止している全国15工場のうち、約7割の10工場の稼働を25日から順次、再開させると発表した。半導体大手ルネサスエレクトロニクスは、停止している川尻工場(熊本市)を22日から一部工程で再稼働させる。
トヨタは、熊本市のアイシン精機の工場が被災するなど、サプライチェーン(部品供給網)が寸断された。ドア部品などの供給が滞っているため、グループ会社を含めて15工場を停止した。しかし、「在庫や、海外を含めた代替生産により、部品の供給にめどがついた」(同社)ため、生産再開を決めた。
25日には、ハイブリッド車「プリウス」を生産する愛知県豊田市の堤工場などで生産を再開。元町工場(愛知県豊田市)など、28日までに再開されない5工場の稼働は連休明けの5月6日以降になるが、具体的な稼働再開日は今月27日をめどに決める。
また、ルネサスの川尻工場は14日夜から稼働を止めていたが、「クリーンルーム内を再調査した結果、生産再開のめどがついた」(同社)として、再稼働を決めた。
山崎製パンは17日、熊本工場(熊本県宇城市)で商品数を限定して製造を再開。過去の災害を踏まえ、コンベヤーなどの生産ラインが動かないように固定したり、生産設備の落下防止の対策をとっていたことで、早期の再稼働につながったという。
一方で、熊本県嘉島町にビールや飲料の製造拠点を持つサントリーホールディングスは、「余震などが続いているため、製造設備の点検作業が十分にできない」として、操業停止が続いている。県内のソニーの半導体工場(菊陽町)、三菱電機の半導体工場(合志市)と液晶工場(菊池市)も、生産再開のめどは立っていない。