トヨタはグループの愛知製鋼が1月に起こした爆発事故に伴う生産停止では約9万台の生産遅れが出て、2月の鉱工業生産指数がマイナスになった。日本経済に与えるインパクトは避けられそうにない。
自動車業界では、ホンダが地震直後の14日から熊本県の二輪工場の稼働を停止。余震で復旧が遅れており、再開のめどはたっていない。高価格の大型バイクなどの生産拠点で輸出も多い。ホンダは業績予想などの確定に「時間を要する」として、28年3月期決算の発表を当初予定の28日から5月13日に延期した。
電機でも業績への影響が懸念される。ソニーも28日に予定していた29年3月期業績見通し発表を5月に遅らせることを決めた。
熊本県菊陽町の工場で、デジタルカメラ向けなどの画像センサーを製造しているが、操業再開は遅れている。画像センサーを外販するデバイス部門だけでなく、これを組み込んだソニー製デジカメの生産にも影響が出る可能性がある。
東京エレクトロンは地震で半導体製造装置などを生産する熊本県合志市と大津町の工場がそれぞれ被災した。合志市の工場で、25日から本格的な操業準備に入るなど段階的な再開に向け、動き出したばかりだ。
アジアにも近い九州は自動車や半導体関連の企業が集積しており、大手の操業停止の影響は取り引きのある中小・零細企業などにも波及する。地震は海外経済の減速などと並び、4~6月期の国内総生産(GDP)の下押し圧力になっている。