確かに送電線側から発電機に電流が流れたが、設備に異常を起こすようなレベルではなかった。報告書に記された原因は単純、検知機が反応する電流の値の設定ミス。対策も検知器が反応する設定値を引き上げることだった。
今回、発電機の検知器を交換したばかりで、発送電開始後に動作確認をする必要があったため使用できなかった。代わりに使用したのは、変圧器に流れる電流の検知機。変圧器とともに発電機の電流も検知するように接続方法を変えて臨んだ。ただ、そのためには検知機が反応する電流の値を上げておくことが必要だった。
関電は、設定値を変えなかった理由について「定性的に判断し、定量的な評価をしていなかった」と独特の表現で説明した。“翻訳”すると、電流が流れると想定し、設定値には余裕があると判断したが、実際に過去の事例などで発電機と変圧器の両方で使用した場合に流れた電流の値を確認しなかったというのだ。それで実際に想定以上に大きな電流が流れたことで警報が発せられたということなのだ。
東大工学系研究科APETの谷口治人特任上席研究員(電力系統工学)は「検知器の接続を変える際などには見落としが起こりやすい。警報は安全側に働いたが、発生する電流について検討が足りなかったのは確か」と説明する。