井上さんは大茶会を、啓発やPR以外の点でも有意義と感じている。「消費者がどういう商品を求めているか、自分にフィードバックされる」からだ。
ティーテイスター制度や大茶会は、社員が知識を深める貴重な場であるとともに、経営理念に「お客様第一主義」を掲げる伊藤園らしい取り組みともいえる。
ちなみに、1級のティーテイスターは、8000人いる社員の中でも12人しかいない。井上さんは現在2級。「いつか1級を取りたい」と、仕事以外でも知識習得に励んでいる。
井上さんら開発メンバーはふだん、静岡県牧之原市の相良工場にある中央研究所で商品開発に当たっている。営業担当者やマーケティング担当者とやり取りし、市場ニーズをくみ取る機会はあるが、消費者と直接的に接する機会となると多くはない。大茶会は「消費者と接する貴重な機会」だという。
誰よりも麦茶に詳しくなければ、工場の担当者とコミュニケーションを取ることも、麦のおいしさを引き出すこともできない。原料にあった焙煎方法を見つけるための井上さんらの挑戦は続く。
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≪MARKET≫
■5年で市場2倍 ヘルシー志向後押し
麦茶の歴史は緑茶以上に古く、平安時代の貴族や戦国武将も愛飲していたという。一般に飲まれるようになったのは、江戸時代に入り、屋台の「麦湯売り」が流行してからだ。