冷やして飲む習慣が定着したのは、冷蔵庫が普及し始めた昭和30年代で、間もなく麦茶という言葉も根づいた。
当初はティーバッグを家庭で煎じて飲むケースが大半だったが、やがて飲料メーカーが缶入りやペットボトル入りの飲料を相次ぎ発売。外でも気軽に飲めるようになり、市場はさらに広がった。
伊藤園によると、麦茶飲料(ティーバッグを除く)の直近の市場は700億円と5年前の2倍に拡大し、茶系飲料の1割弱を占めた。今も2桁の伸びを示しているという。
市場拡大をもたらしている要因の一つに、健康志向の高まりがある。メーカーではここ数年、運動時や飲酒のときの水分補給に最適なことや、カフェインを含まず子供が安心して飲めることをアピール。結果、夏場の飲み物という従来イメージを保つ一方、通年商品としても認識され始めている。
伊藤園が麦茶飲料で5割のシェアを築くことができたのは、味にこだわっただけでなく、CMなどでこうした点を率先して訴えてきたからでもある。
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≪FROM WRITER≫
取材当日、伊藤園の中央研究所がある静岡県牧之原市は、夏を先取りしたかのような、汗ばむほどの陽気に包まれていた。日本有数のお茶どころだけあって、新緑の茶畑が広がり、陽光に照り輝く光景は、絵画のように美しかった。