伊藤園はその強みを生かしつつ、二条大麦の焙煎に別の工場を併用することにした。その工場は、熱風焙煎のみを採用していた。ドラム式洗濯機のように、羽根で熱風を送り込み、空気を攪拌(かくはん)しながら焙煎するやり方で、振動が比較的少ないため、外の皮が剥がれやすい二条大麦にはうってつけだ。ほかにも数機のロースターを組み合わせて、原料ごとに適した生産体制を構築することで、1年後にようやく「模範解答」までたどり着いた。忌部課長は「発売後のモニター調査では、考えた通りの結果が出ている」と満足そうに話す。
販売不振でてこ入れの必要があるならともかく、好調なのに大幅なリニューアルを行うのはリスクが大きい。だが、伊藤園は躊躇(ちゅうちょ)なくそれに踏み切った。「現状維持に甘んじていたら、すぐにトップから滑り落ちてしまう」(忌部課長)。ライバルは他社ではなく、あくまで自分自身だと考えている。