決算発表を行う三菱重工業の宮永俊一社長=9日、東京都港区(早坂洋祐撮影)【拡大】
三菱重工業は9日、日立製作所と火力発電システム事業を統合した合弁会社、三菱日立パワーシステムズの南アフリカでのプロジェクトの事業評価額をめぐり、日立に約3800億円の支払いを請求していると発表した。日立は「請求は契約に基づく法的根拠に欠ける」と反発している。
南アフリカでのプロジェクトは、日立の連結子会社が平成19年に受注した火力発電所向けボイラー建設。26年に三菱日立パワーシステムズが事業を継承したが、三菱重工によると、継承した時点で「すでに損失が見込まれたプロジェクトだった」としている。
三菱重工の28年3月期連結決算は、最終利益が前期比42・2%減の638億円だった。米企業から受注した大型客船2隻の建造遅れで特別損失1039億円を計上した。大型客船の建造遅れに伴う損失は、累計で約2375億円に上る。
ターボチャージャー(過給機)やフォークリフトなどの機械・設備システム部門などが好調で、売上高は初めて4兆円を突破。営業利益は前期比4・5%増の3095億円だった。
三菱自動車の燃費データ不正問題の影響については「合理的に見積もることが困難」とし、反映しなかった。宮永俊一社長は、今後の支援について「株主への説明責任、社会的責任から判断する」と述べるにとどめた。