村田氏は鈴木氏に相談し、社長でなく取締役の1人として残留することも模索した。だが、指名・報酬委の委員を務める伊藤氏と米村氏は「否決された解任人事案を主導した役員が残留することを世間はどうみるか。(村田氏の残留が)会社の評価を下げてしまう」と一貫して主張。最後は村田氏も涙を浮かべるような表情で自らの解任を受け入れたという。
一方で混乱の収拾に動いたのも伊藤氏、米村氏、月尾嘉男・東京大名誉教授、スコット・トレバー・ディビス・立教大教授4人の社外取締役だった。ある社外取締役は、「この問題では頻繁に連絡を取っており、社外取締役は全員がずっと同じ意見だ」と明かす。
まず、セブン-イレブン社長への残留を望んでいた井阪氏を説得し、セブン&アイ社長に昇格させた。同時に鈴木氏の解任に反発する幹部への配慮も見せ、鈴木氏の懐刀といわれた後藤克弘取締役常務執行役員を新設の副社長に昇格させてバランスをとった。その新体制を19日の取締役会で全会一致で決議することで収束を図った。ある取締役は「全員が2度も人事案で割れたら、会社が持たないことだけは分かっていた」と振り返る。