任天堂の決算会見で、次世代機「NX」を来年3月に発売すると発表する君島達己社長(右)=4月27日、大阪市中央区【拡大】
君島社長はそうした予想を覆し、「今年のE3では(人気ソフトの)『ゼルダの伝説』の最新作に焦点を当てます」と説明した。6月に向けて意識を集中させていた記者たちは肩すかしを食らった。
会見では「NXは今年前半の発表と聞いていたが…」との質問が上がり、君島社長は「今申し上げた発売日程が(今年前半の)発表内容です」とかわした。会見終了後も、取り囲んだ記者から「なぜE3に出さないのか」と疑問が投げかけられ、君島社長は「E3は、年末商戦に向けて小売店が早く宣伝できるものが対象ですから」と答えた。
NXの発表時期をめぐる任天堂の戦略は、君島社長が述べた次の言葉に集約される。
「ハードとソフトの両方がきちんとそろい、発売開始からきちんと遊んでもらうことが大事だ」
現行の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の場合、「年末商戦を外した23年2月に発売したことが苦戦につながったのでは」との見方もある。クリスマスから年末の「ホリデーシーズン」がゲーム業界のかき入れどきだからだ。
それでも、NXは少なくとも「年末までにソフトがそろわない」という事情があるようだ。NXがどれだけハードとして技術水準が高くても、ソフトに魅力がなければユーザーにそっぽを向かれる。