英国のEU離脱問題をめぐり、金融市場は不安定さを増している。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美氏は「追加緩和をしても(景気浮揚につながる)円安株高の効果は一時的。金融政策に対する信頼感が喪失するリスクがあるため、日銀は動けなかった」と分析する。
市場では金融政策の“限界論”もささやかれる。長期国債は、すでに新規発行額を上回る年80兆円ずつ買い増しており、増額すれば国債が枯渇して買い入れ自体の限界を早める恐れがある。またマイナス金利政策の深掘りには、急激な金利低下を懸念する金融機関の反発も予想されており、日銀には手詰まり感も漂う。
こうした中で、日銀は7月28、29日の決定会合で、3カ月ごとの「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表する。市場では展望リポートで、物価上昇率目標の達成時期見通しを先送りするとともに、追加緩和に踏み切るとの観測が根強い。
ただ、SMBC日興証券の宮前耕也氏は「黒田総裁が任期中に追加緩和を打てるのはせいぜい2回。金融政策のみでの景気浮揚には限界がきている」と分析する。金融緩和の行き詰まりと、英国発の世界経済不安が同時に訪れつつある中で、円高圧力をかわせるかは不透明だ。