さて、バイオエタノールはその原料において、どうしても食用と競合してしまう。そこで、一歩進んで麦わらなどのセルロースからエタノールを精製する技術の確立を急ぎたい。前処理の糖化工程に使用する酵素剤をはじめ、少ないエネルギーによる水熱分解、さらに高効率な発酵など、クリアすべきハードルは高い。だが、再生可能エネルギーであるセルロースを原料とした低コストのバイオエタノールの実用化は、燃料までを含めた自動車の脱炭素化へと大きく前進できる。日産の今回の技術は、低炭素社会に逆行しないという点で意義深い。
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【プロフィル】永井隆
ながい・たかし ジャーナリスト。明大卒。東京タイムズ記者を経て1992年からフリー。著書は「サントリー対キリン」「人事と出世の方程式」など多数。58歳。群馬県出身。