
トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」【拡大】
販売台数の比較自体に大きな意味はないが、トヨタの世界販売に勢いがみられないことは否定しがたい。連結販売台数は2014年10~12月期から16年1~3月期まで実に6四半期連続で前年比減少を続けてきた。
先日の16年4~6月期決算でも、営業利益は前年比15%減と2桁の減益となった。同時に、為替前提を変更し、通期業績の下方修正も発表した。台数に勢いがない中で固定費増加が続く結果、円高に対する抵抗力が弱まっている。
トヨタのこれまでの成功は、お家芸とも言える「原価低減」だ。これを起点にした「商品力向上」が「台数成長」につながった。そして台数成長がさらなる原価低減、商品力向上につながり、その結果として一層の販売台数を増やすという好循環があった。これがいつの間にか「台数成長」が目的化し、固定費が増大。経済の変調で一時は多大な赤字に陥り、品質問題に転落していった。
現在のトヨタは持続的成長を求め、それを支える真の競争力を模索している。その戦略がトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ(TNGA)であり、設計や調達のソフト領域も含めてクルマづくりを根本から全体的に見直すことだ。