
アクセルスペースを率いる中村友哉氏【拡大】
--というと
「政府主導のプログラムのほとんどは初期投資に主眼を置いています。資金が重要なのは言うまでもありませんが、私たちには知識も必要でした。私たちは長年超小型衛星の開発に取り組んできた工学系のエンジニアです。数人規模のプロジェクト運営では問題がありませんが、エンジニアを何十人も雇用するようになると、会社経営やマネジメントを学ぶ必要がありました。また、資金よりも重要なのは顧客です。活用する人がいないのに衛星を作っても意味がありません。政府のプロジェクトで超小型衛星の開発を受注すれば、民間企業の間でも信用が高まるため、創業当初から入札を希望していました」
◆JAXAと契約
--超小型衛星の需要はなかった
「JAXAは従来型の大型衛星の打ち上げと運用をしていますが、それらを製造するのは三菱電機やNECといったメーカーです。しかし、今年8月にアクセルスペースはベンチャー企業として初めて、小型実証衛星に関してJAXAと契約を結ぶことができました。設計、開発、運用まで私たちが担当します」
--ディスラプトが最も難しい産業の一つで成功しています
「超小型衛星の開発一筋にやってきた人間として、起業が最後に残された選択だったのです。航空宇宙産業では、政府との結びつきが強い大企業からイノベーションは生まれにくいと思います。政府の全面的支援を受けて海外マーケットで勝つのは難しいでしょう。日本企業は、たとえば超小型衛星やプライベートジェットなどのいくつかの分野に絞り、リスクを取って挑戦すればグローバルプレーヤーになれると思います。ホンダジェットが、その可能性を示しています」