一方、事業の切り売りで資金を捻出する案もある。ただ、東芝は不正会計発覚後に白物家電子会社を中国企業、医療機器子会社をキヤノンに売却しており、まとまった資金を入手できるような事業は少ない。
ここで焦点になるのが半導体事業の扱いだ。分社化、上場して資金を得る案もある。だが、業績を牽引(けんいん)する主力事業を切り出せば、東芝本体の稼ぐ力が低下してしまうジレンマがある。海外の半導体メーカーに株式を取得されるリスクも生じかねない。
こうした状況を踏まえると、最もあり得るシナリオは銀行による金融支援だろう。東芝はみずほ銀行や三井住友銀行などと金融支援策についての具体的な協議に入っている。
いずれもリスクに
選択肢に挙がるのは、借金の一部を株式と交換し銀行が保有する「債務の株式化」のほか、「優先株」を発行して銀行に引き受けてもらうことによって資本を分厚くする方法だ。東芝の経営の先行きが不透明な中、いずれも「リスクを背負うことになるので銀行にとっては重い判断が必要とされる」(メガバンク関係者)。東芝は銀行団の理解を得るため一段のリストラを迫られる可能性もある。