東芝が米国の原子力発電事業で計上する損失額が6000億円前後に上る見通しとなったことが13日、わかった。関係者によると損失計上に伴い、平成28年4~12月期の連結最終損益は4000億円前後の赤字となる。半導体事業の一部など資産を売却し、今年3月末の債務超過を回避する考えだ。
東芝は13日、28年4~12月期連結決算が「大幅な赤字となる見込み」だと発表した。14日に綱川智社長が会見し、赤字額や米原発事業で計上する損失額、再発防止策などの詳細を説明する。
東芝は、米国での原発建設費用が予想を大幅に上回ったことから、米原子力子会社のウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が2015年末に買収した米原子力サービス会社の資産価値を見直し、巨額損失を計上する。
金融筋によると米国で原発事業関連の損失額は6千億円前後となったもようだ。東芝は米子会社だけでなく、国内を含めた原発事業全体の価値を見直す。最終的な全体の損失額は最大7000億円規模になる恐れもある。
東芝の自己資本は昨年9月末時点で約3600億円だが、原発関連の損失計上により大きく損なわれる。29年3月末時点で負債が資産を上回る債務超過となるのを回避するため、資本増強を急いでいる。
東芝は半導体事業を3月末に分社化して株式の一部を売却する。また東芝テックなど上場グループ会社の株式や保有資産の売却、構造改革の先送りによる資金捻出などを検討している。
東芝の資本増強策の柱となる半導体事業の一部売却に対しては、海外の半導体大手や投資ファンドなどが株式取得に名乗りを上げている。