東芝、逆風直視せず拡大進めた判断裏目に 3社再編構想は現実味乏しく (1/2ページ)

2017.2.15 06:05

会見のめどが立っていないことを集まった報道陣に説明する東芝関係者=14日午後、東京都港区(古厩正樹撮影)
会見のめどが立っていないことを集まった報道陣に説明する東芝関係者=14日午後、東京都港区(古厩正樹撮影)【拡大】

 東芝が原発事業に絡む巨額損失を受けて昨年末時点で債務超過に転落した。東京電力福島第1原発事故後、厳しさを増した原発への風当たりを直視せず、拡大路線を突き進んだ判断が裏目に出た。原発事業の再編構想もささやかれるが、追加損失の恐れも抱えて現実味に乏しい。決算発表をめぐっては混乱も生じ、名門企業は迷走の度合いを深めている。

 「どうしたんだ」。証券マンや投資家らは14日正午を5分過ぎても東芝から情報開示がないことに首をかしげた。東芝は2016年4~12月期決算を、この日正午に発表すると予告していたが、10分、15分を過ぎても反応がない。異例の事態に東京証券取引所に上場する東芝株には売り注文が殺到。前日比で一時10%近く値を下げた。

 結局、東芝が決算発表の延期を正式に明らかにしたのは午後2時半になってから。その後、監査法人の承認が必要な決算発表とは別に東芝独自の業績見通しを出した。

 「綱川社長メッセージ映像の生中継は諸般の事情で延期します」。東芝社員にも14日正午すぎ、会社からメールが入った。昨年末に原発建設の巨額損失が判明して以降、社内でも将来に不安を覚える声が出始めていた。ある中堅社員は「ごたごた続きで経営陣への不信感が余計に強まった」と話した。

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