「売れないわけない」iモード誕生秘話 携帯とネット融合、時代捉えた「i」の文字 (2/5ページ)

携帯電話であらゆる情報を―。現在の「当たり前」を生み出した中心メンバーは榎啓一、夏野剛、松永真理(上から時計回り)の異なる才能を持った3人だった
携帯電話であらゆる情報を―。現在の「当たり前」を生み出した中心メンバーは榎啓一、夏野剛、松永真理(上から時計回り)の異なる才能を持った3人だった【拡大】

 「携帯ゲートウェイ」

 携帯電話に有料情報を流し広告収入も得る。コンサルティング会社が提案した、iモードの原型となるビジネスモデルだった。法人営業との二足のわらじ。「携帯ゲートウェイ」事業に部下はいない、社内公募で集めろ、外部採用もOK…大星はそう付け加えた。

 「ラッキーだ。9割は当たる」。榎は直感した。自宅では高校生の娘がポケベルで楽しそうに友人とメッセージをやりとりしていた。「こういう機能をうまく作れば使ってもらえる」

 だが、電電公社に入社以来、インフラを担当してきた榎にとって、有料で提供する「情報」というものがよく分からない。“情報”が分かる人がほしいと、松永に白羽の矢を立てた。松永は、リクルート時代の知人でネットベンチャーを立ち上げていた夏野剛(51)を誘う。榎を含め現在、「iモードの生みの親」と称される3人だ。

 「松永さんはとらばーゆの編集長を終えてウェイティング(待ち)だった。絶頂期ならきてくれなかった。夏野さんも自身の会社がつぶれる寸前。運、人との出会いがよかった」と榎は言う。夏野は米国で生まれたばかりのインターネットに精通してはいたが、立ち上げたベンチャー企業では経営に行き詰まっていた。松永は「語感」や情報の価値を見極めるプロだが、ネットはからきしの「アナログ人間」だった。

「栗ちゃん! iよ、アイだわ!」。オフィス街を歩いているとき、突然、そう話しかけられた

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