「売れないわけない」iモード誕生秘話 携帯とネット融合、時代捉えた「i」の文字 (3/5ページ)

携帯電話であらゆる情報を―。現在の「当たり前」を生み出した中心メンバーは榎啓一、夏野剛、松永真理(上から時計回り)の異なる才能を持った3人だった
携帯電話であらゆる情報を―。現在の「当たり前」を生み出した中心メンバーは榎啓一、夏野剛、松永真理(上から時計回り)の異なる才能を持った3人だった【拡大】

 「携帯電話とインターネットをつなげて、なんかするみたいよ」

 夏野は、ネットに疎い松永から、そう誘われたことを覚えている。だが、夏野はその説明に膝を打ったという。

 「そうだ、その手があったか!」

 異業種にも広がり

 「栗ちゃん! iよ、アイだわ!」

 iモード開発部隊の栗田穣崇(しげたか)(44)は、松永と一緒にオフィス街を歩いているとき、突然、そう話しかけられた。

 「携帯ゲートウェイ」と呼ばれていたサービスにどう名前を付けるか。松永にとって大きな課題だった。「ダイナリー」「オスカル」…。広告代理店が次々と持ち込むアイデアに松永は数カ月間、首を振り続けていた。ひらめいたのは空港の情報カウンターなどに使われる「i(アイ)」の文字。その下に栗田が「モード」を付けた。

 iは印象の柔らかい小文字。子音が「m」の言葉には「もりもり」「むくむく」など肉感的なイメージがある。「モード」にはデジタルだが温かいイメージ。五七五調に通じる5文字、そして濁点を含む音感。「とらばーゆ」でも生かされた、松永の名付けのノウハウが随所に盛り込まれていた。

「iPhone」「iPS細胞」など、「i」は異業種にも広がった

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